サラセニアはツツジ目サラセニア科サラセニア属の植物の総称で、食虫植物として3番目か4番目くらいに有名である。
葉全体を使って筒を作り、その中に虫を落として消化する食虫方法で、落とし穴式と呼ばれる。落とし穴によるトラップづくりの設定はおそらくここから。
筒の中には消化液が入っており、いろんな消化酵素も分泌している。(酵素分泌はないと思われていた時代もあった。)
が、実際は細長い種類だと積み重なった獲物が水位を超えてたりする。
捕虫プロセスもかなり凝っており、筒の入り口、蓋の付け根から蜜を出して昆虫を誘引する。息が害虫を呼び寄せる設定はおそらくここから。
ちなみにこの蜜にはアルカロイドが含まれており、舐めた昆虫は麻痺して落ちるらしい。
また種類によっては入り口や筒全体の内側に下向きの毛が生えており、虫が入り込みやすいような構造をしている
種類によっては春に捕虫葉を出し、夏の間は剣状葉を出す。武器が剣なのはここからきているのかもしれない。(写真の左下)
北アメリカ原産で原種は8種のみだが、同じ種でも品種によって葉の形や色、大きさが違うため、様々な品種が愛好家により栽培されている。
また、これらを掛け合わせた交配種が大量に作出されており、初夏にお店に出回るサラセニアのほとんどは交配種である。
以下がよくお店で見る原種。
サラセニアの背景を見て花の形がよくわからないと思った人もいるかもしれない。実際、初見ではよく分からない構造をしている。
外から見ると花弁の下からめしべがカバーのように覆いかぶさるような構造をしており、おしべは花弁とめしべに隠れて見えない。
なぜこのような複雑な構造をしているのだろうか。ちなみに同じ科の他の属の花はもっとシンプルである。
(シンプル過ぎて花弁がないものもあるが)
サラセニア科にはサラセニア属の他にヘリアンフォラ属とダーリングトニア属があり、すべて筒状葉による捕虫を行なう。
ヘリアンフォラは下のような両端が接着された葉、という感じの単純な構造をしている。
ではサラセニアの捕虫葉は葉の両端がくっついて出来てるのか、というとそう簡単でもないらしい。
2015年のサラセニア・プルプレアを用いた研究によると、細胞分裂の方向を外側と内側で変えることでくぼみを作り、それによってあの筒を作り上げているらしい。
どのような経緯でそのような複雑な進化をしたのか、興味は尽きない。