アプリコットはバラ科サクラ属の落葉小高木アンズの英語名で別名カラモモ
原産地の候補はいくつかあり、有力視されるのは中国山東省・河北省の山岳地帯〜東北地方南部
別の候補アルメニアから学名は
Prunus armeniacaとなった
日本への伝播は古代中国からの持ち込みで、古今集にはカラモモの表記が既に見うけられる
一方ヨーロッパへもインド、ペルシャを経由しイタリアへ伝わっており、紀元前ローマに既にあったという説も提唱される
イギリスまで伝わるのは遅く、14〜16世紀まで下る
さらに遅いのがフランスで17世紀にようやく栽培され始め、18世紀にスペインからの持ち込みによってアメリカ大陸にも広がる
近縁の
ウメ、
スモモ、アーモンドなどと交雑が起こりやすく、中国北部の東洋系品種にもウメとの交雑らしき痕跡がみられる
実の外見はウメと似ているが多数の品種で果肉が甘く、熟すと種と果肉が離れる
傾向としては中央アジアを境に西では甘い品種、東では酸っぱい品種が多い
開花の時期は
サクラよりやや早く、花の色は淡い赤色
花の形態がウメサクラと似ている(ごくごく近い親戚なので当然といえば当然だが)ため、花見用にもなる
サクランボの一部品種のように自家受粉の相性が非常に悪いため、結実用に他品種が用意される
実った果実は6月末から7月に収穫される
果物としての生食はもちろんのこと、干したりジャムに加工することが多い
他にシロップ漬け、ワイン、アマレット(アプリコットの種子でアーモンドのような香りを付けたリキュール)などにも使われる
ただし、種子には青酸系の化合物アミグダリンが含まれており、噛み砕いて摂取すると体内で青酸が発生、死に至る可能性がある
成熟した種子を少量、生薬として最低限配合された薬品などであれば心配するまでもないが、未成熟な種子はできるだけ避けるほうがいい
杏仁豆腐の「杏仁」とはこのアプリコット種子のこと(味付けに使用)で、生薬としては「きょうにん」と読む
材木としては柱、敷居が主な用途となる。アルメニアではドゥドゥクという楽器に使われる
冷涼地・乾燥地でなければ病害虫が発生するため農薬散布が推奨される
また、品質維持のため人工的な繁殖では播種せず接ぎ木を行う。この際の台木側は実生したものを用いる
アプリコットの果実をイメージしたアプリコット色は
HTMLコード#FBCEB1で表される、ペールオレンジ(いわゆる「肌色」)系の色