グネツム綱グネツム目ウェルウィッチア科ウェルウィッチア属という、いろいろと聞き慣れない分類の植物である。というか、ウェルウィッチア科の現存植物は彼女のモデルとなったウェルウィッチア一種である
アフリカのナミブ砂漠に自生する裸子植物で、その特徴は葉にある、というより葉しかないというか、植物体のほとんどをたった1対の葉が占める
そのあまりにも・・・なんというか、ものすごい外見から、付いた和名は「奇想天外」
変な名前仲間のアアソウカイとオウソウカが待たれる
非常に長い寿命を持ちなかなか枯れるものではないが、砂漠に生えていることもあってかしなびたような見た目であることも多く、「世界で最も醜い植物」などという不名誉な称号を与えられている
名前の由来はオーストリア(※ウィーンの方、にゃ長の国ではない方)の探検家であるフリードリヒ・ヴェルヴィッチュ(あるいはウェルウィッチ)
彼が1859/9/3に発見し、ロンドン・リンネ学会に情報を持ち帰った際に提案した学名が、直後に別個体を発見したトーマス・ベインズによって切り株を意味する一般名詞であり不適切とされ、最終的に彼の名を付けることに落ち着いた
種小名はそのベインズから
bainsiiとされることもあったが、現在では同一種としてウェルウィッチア・ミラビリスのシノニム(正式な学名ではないが、慣例的に長く使用されているためなどで同一の種類を示す名前として使用してもよいと認められた名前)になっている
どういったわけか、雄花が赤褐色のものと灰緑色のものがあり、亜種として登録されている
化石では南米から白亜紀前期の地層に発見されており、この時からこんなもっさぁとした姿だったらしい
ペルム紀、中生代には優占しており、第三紀から第四紀に周辺環境が乾燥していくにつれ現在の分布になったとされる
茎は直径1m程の木質で、葉なので高さは1.5mもない程度だが、うねりながら伸びまくるため直径8mにもなる・・・という特異な姿だが、今度は2mも伸びれば葉が擦り切れてしまう
いろいろ研究を進めたところ、双葉のまま大きくなるような進化をしたのではなく成長の初期に成長点が無くなってしまうことで機能する葉を1対2枚しか作れなくなったらしいことが判明している
茎の中央にくぼみがあり、先端に花序のある枝を出す
雌花は球果(
マツぼっくり)のような形をしており、種は被膜と羽を持つ
砂漠に自生するだけに最大の課題は水分となるが、こちらも当然砂漠ならではの進化によって対策している
根は3〜10m(初期に研究した人にいわく「葉の端から端までとほぼ同じ深さ」)にまでなって地下水を吸い上げる。構造は単純で長い主根から複数の側根が出る。スポンジ状であるらしい
また、気孔が葉の表裏に関係なく同数あり、蒸散能力が高い(こちらは葉の冷却のためともいわれる)
個体ごとの寿命は計測できないが
千年以上とまで言われるうえ、現存個体のいくつか、
2000歳以上の可能性がある
西暦よりも長生きの草・・・!?
寿命・・・いや全体の成長タイムスケールがあまりに大きいため、新たに生えたウェルウィッチアが種を付けられるまで約
25年かかるとも言われている。当然だが最初の種子を作る状態が整うまで長すぎて繁殖力は極端に低い
そのためワシントン条約でも言及されナミビアでは厳重に管理されているが、シマウマなどによる食害、密漁、車に轢かれて傷ついたり菌に感染して発芽能力が落ちるなど喫緊ではなさそうだが絶滅が危惧されている植物である
専門業者からであれば種子の購入が可能で、低温低湿環境下での長期保存が可能
外種皮を取り除き、まいてから数週間湿度を保つことで発芽するが、水に浸かると逆に発芽しにくくなる
花言葉は今のところ存在しない。花言葉が存在しない花騎士は
ライオンゴロシに続いて彼女が二人目である。