バラ科スモモ属またはサクラ属(諸説あり)の落葉樹の総称
また、果実が食用になる場合桜桃(オウトウ)と呼ぶ場合があり、果実は
サクランボとして呼称される
通常食用とされるのは実桜の果実であるが、花を塩や
梅酢に漬けたものを食用とする場合がある
各地の公園などに植栽された桜の大半はエドヒガン系×オオシマザクラの交配によって江戸時代末期に誕生した園芸品種ソメイヨシノ種であり、その全ての個体は枝挿しや接ぎ木によって増やされた完全な同一個体のクローンである
まったくの同一個体であるため開花条件が限りなく等しく、これによって「桜の開花日予想」が実現している。当然ながらソメイヨシノ以外の品種には当てはめられない
まったくの同一個体であるため、同時に「同じ病害虫に弱い」ことを意味している。そのため温暖化を含む急激な環境変化や大規模な病気の発生で一気に全滅することが予想されている
ソメイヨシノが実をつけないわけではないが、自家不和合性とヘテロ接合性が高いため同じ特徴を持つ子株は期待できない
ソメイヨシノとは、桜の名所として奈良県吉野地方にちなみ吉野桜としたところ、通常のヤマザクラとソメイヨシノが別種であることが判明したため混同を回避するために、育成した植木職人が集落を作っていた江戸の染井村に由来して頭にソメイを付けたことによる名前である
現在桜全体の分布は北半球に広く、温帯域の各地で栽培されている
日本では数百万年前から自生しているとされ、全国ほぼ全域で自生あるいは栽培が可能でありソメイヨシノの親品種オオシマザクラなど複数の種が日本固有種とされる
花は概して白、または赤系統の濃淡がつく。桜色と表現する場合はHTMLコード
#FEEEED、RGB比254:238:237が示す薄いピンク色となる
桜は突然変異が起こりやすい木で園芸品種も多数あり、少なくとも品種改良の歴史は室町時代までは遡ることが可能で、原種10種類ほどから派生した100の自生変種、細分類すれば600に及ぶとすら言われる品種が確認されている
自家不和合性のある品種も多いため、後代に受け継がれない変異も多い
品種改良は日本では花姿、西欧では実の食用化・大型美味化を重視して行われた
全体的に雌雄同株の低木〜中高木である品種が多い
樹皮は若いうちは光沢と呼吸孔となる水平方向の皮目があり、古くなると風化し割れる
木材としては湿気に強く硬い木としてテーブルの天板やフローリングに使われる
剥がれた樹皮を版木や細工の素材として使ったり、オオシマザクラなどでは燃料にも使うことができる
香りもいいため、燻製用のスモークチップに桜の端材などを用いることも多い
葉は枝に互生する楕円形の鋸歯あり、秋には紅葉する
根は浅い位置で水平に広がり、新たな茎がよく生え、幹・葉柄から出る不定根も多く発生する
花弁は一重咲きで5枚、八重咲きになると百枚超えの品種もある。
ウメや
モモによりも長い花柄も特徴である
蜜が出るため、蜜目当てのスズメやメジロなどが花に寄りつく。スズメは嘴が届かず、花の横から穴を開けて蜜だけ飲んでいくため桜側からすればあまり来てほしくない鳥である
1月に沖縄で
カンヒザクラ、そこからカンザクラ、ヤマザクラと開花し、ソメイヨシノを含む多くの種類が3〜4月に咲く
北海道でなど5月以降に咲くものもあり、ジュウガツザクラやフユザクラなどは秋から冬に開花する
桜の葉が休眠ホルモンを作るため、花芽ができても通常次の開花時期まで時期をはずして咲くことはない
休眠打破には気温が一定以下になることが鍵となるため、落葉後に冬を迎えることで春の陽気を感じた時に開花することができる
一方気温が下がりはじめる秋は台風が多いため、強風で葉が落ちてしまうことがある
そうするとうっかり開花条件である「落葉+寒気+その後の陽気」を満たしてしまうこともあり、
秋桜でもないのに秋に開花する、いわゆる「狂い咲き」が発生することになる
地球温暖化やヒートアイランド現象の影響で、開花できる気温になる日が早まっている
九州では逆に休眠打破できる寒さにならず開花が遅れる現象が確認されている
枝や幹についた傷から水が入れば株全体の腐敗、そして枯死に繋がるため剪定には十分な技術を要し、下手な剪定で枯らすことを戒める(揶揄する?)「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉が生まれた
現在でこそ防腐剤があるため難易度は下がったが、やはり乱雑な剪定が枯死の原因となるのは変わらないので丁寧に切る必要がある
余計な傷の発生しない自生種では樹齢数百年、古いもので1000年超えのものもあるほど長生きできる樹木である
また、青森県弘前市では、同じバラ科の
リンゴを剪定する技術を流用して花芽の多い若い枝に栄養を集中させつつ枯らさず維持し続けている
平安時代の国風文化で春の風物詩となり、日本の花見文化に欠くことのできない特別な花として定着した
スプリングガーデンにおいても、日本の春のイメージとしてわかりやすさを重視したためなのか、北東に位置する常春と知徳の国家ブロッサムヒルは世界花が桜であるのに加え、花見の名所フェリアの花園も桜が多数植えられ、フェリアの花園ほど集中してはいないものの国家全体で桜が咲いているのが見うけられる
ちなみに、桜は花が下向きに開くという特徴があり、宴会で座って見上げるとちょうど花が見られるようになっているため花見向きという事情もある
法的な制定はされていないが、明治時代以降国花として1967年以降の100円玉など公的な紋章として使用されるようになった
友好の印として贈答される木も桜が多く、アメリカへ全米桜祭りが行われるポトマック河畔のソメイヨシノの元の木を贈答した返礼として日本に贈り返された木がdogwood、和名で言うと
ハナミズキである
いかんせん古くからあるため語源は諸説あり、これらがよく知られるものらしい
・ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの婚姻から、
稲(サ)の神が憑依する座(クラ)とする説
・そのコノハナサクヤヒメから、「サクヤ」が転訛した説
・サクラとは桜だけを指す単語ではなく、「咲く」の複数形(ら)であって花の密集する植物全体のことだった説
また、古い方の「櫻」という字はユスラウメの実の生りかたを首飾りに見立てて「嬰」(首飾りをつけた女性、もしくは首飾りそのもの)の木という意味の文字であるが、ユスラウメの導入が江戸時代後期であったためサクラを指す字として転用されたという